写仏をした経験はありますか。
写経は知っているけれど、写仏は知らない方も多いかもしれません。
写仏とは、仏様の絵を写し描くことです。
文字を書くのは苦手、絵を描くのが好きといった方なら、写経より興味が持てるのではないでしょうか。
心を穏やかにしてくれる、写仏について行い方や心得を見ていきましょう。
写仏の基本と心得
写仏は仏様の下絵の上に薄紙を重ねて、筆で写し描きをすることです。
仏様の絵を見ながら描く方法もありますが、初めての方は写し描きがおすすめです。
仏様にはさまざまな種類があり、同じ仏様でもさまざまな図柄があるので、毎回、新鮮な気持ちで取り組むことができます。
絵の上手、下手はまったく関係ありません。
上手に描こうとせずに、仏様と向き合い、無心になって写し描くことが心得です。
線が乱れるなど失敗した、描き直したいと思ったとしても、最後まで写し、完成させましょう。
なぜなら、写仏の目的は仏様を上手に描いて競い合うことや自慢することではなく、仏様を写すことで仏様に近づくことを目的としているからです。
写仏の準備
お寺などで写仏会や体験会を開催されることやカルチャーセンターなどで写仏教室が開催されていますが、そうした場所に出向かなくても、自宅でもすぐに始められます。
紙と筆、墨汁とすずり、写仏したい下絵と写すための和紙があれば、始められます。
最初は墨一色で描き、慣れてきたら絵具で色をつけて水彩画にすることも可能です。
下絵は写仏用の下絵集をはじめ、最近はネットで下絵をダウンロードして使うこともできます。
写し方
写す順序に決まりはないため、輪郭などから始めましょう。
お顔など細かい部分は最後にとっておきます。
ゆっくりと丁寧に線を写していきましょう。
ポイントは筆を立て、少しずつ進むことです。
長い線も一気に描かず、細かく短い線でつないで描くのが基本です。
輪郭などが描けたら、最後に心を静めてお顔に取り掛かりましょう。
写し終えたら、左下に仏様の尊称と、写仏した日付と氏名を記入します。
右上に願い事を記しても問題ありません。
その際は写仏する際や最後に回向文(えこうもん)を唱える時も、一心に写仏する仏様に願いながら行いましょう。
描き終えた写仏像を前にして合掌し、回向文を唱えます。
進行する宗派の回向文で問題ありませんが、代表的なのは以下の回向文です。
「願以此功徳(がんにしくどく)・普及於一切(ふぎゅうおいっさい)・我等與衆生(がとうよしゅじょう)・皆共成佛道(かいぐじょうぶつどう)」
描いた後
写仏したら仏間や浄めた場所に保管するか、美しく描けたものは飾っておくのも良いでしょう。
また合格祈願や病気平癒などの成就祈願を目的に写仏した場合は、お寺に納仏するのがおすすめです。
その際は1,000円ほどのお布施を添えましょう。
まとめ
写仏はお寺や教室に行かなくても、自宅でも始められます。
墨や筆などのお道具と、描きたい仏様の下絵を用意しましょう。
失敗を考えることやうまく描くといったことではなく、一心に心を込めて丁寧に写します。