密教(みっきょう)という言葉を聞いたことがありますか。
テレビ番組のお寺や仏教などの特集などで、見聞きしたことがある方もいるのではないでしょうか。
実は真言宗(しんごんしゅう)は密教の一つです。
密教とはそもそも何なのか、紐解いていきましょう。
密教とは何なのか
密教とは、秘密の仏教という意味があります。
では、秘密の仏教とはどんな仏教なのでしょうか。
真言宗の宗祖として知られる空海(くうかい)は、仏教には説き明かされた仏教である顕教(けんぎょう)と秘密の仏教である密教の、2種類があると解き明かしました。
顕教とは
顕教というのは、仏教の開祖であるお釈迦様が、誰にも伝わり、理解することができる人間の言葉によって真理を解き明かした教えを指します。
真理とは、悟りの境地のことを指し、どのようにすれば悟りの境地に達することができるかをわかりやすく説明したのが顕教というわけです。
この顕教は、やがて文字として書き綴られました。
それが経典(きょうてん)、いわゆるお経となって広まっていきました。
密教とは
顕教は、人間が理解できるわかりやすい言葉で真理を解き明かしたもので、お経という文字で視覚化もできるものであるのに対し、密教はお釈迦様が言葉だけでは語り尽くせなかった真理を、実践によって示す教えと表現されます。
言葉ではなく、実践、いわゆる行動や姿勢などによって示すということです。
言葉や文字で表現できず、行動や姿勢などの実践で表現するとなると、一般の人には簡単には理解ができないことから、秘密の仏教なのだと空海が表現したのです。
密教の教えについて
密教の教えの主は、仏教でいうところの宇宙の真理そのものである大日如来(だいにちにょらい)です。
仏教について深く学んでいないと、この説明自体が理解しにくいかもしれません。
大日如来は、真言密教の本尊とされるものです。
大日如来が直接説いた真理は、仏の世界の言葉で語られるため、一般的な普通の人間には理解することができません。
ですが、大日如来と一体になれるように修行を積むことで理解できるとされます。
身(しん)=身体、口(く)=言葉、意(い)=心の働きが大日如来と一体となるように修行することで、生きながらにして仏になる、すなわち悟りの境地が開けるのです。
この修行と教えが、空海が中国から伝えた密教というものです。
まとめ
真言宗の宗祖である空海は、言葉で理解できるお釈迦様の教えである顕教と、実践によってしか理解できない秘密の教えである密教があると説きました。
密教は身口意を大日如来と一体化させる修行を積むことで、悟りの境地が開けるという教えです。